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目的に応じて適当に
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Posted by - 2024.05.18,Sat
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Posted by よあ - 2008.02.08,Fri
 パーティの盾、ギルドのパラディンが風邪を引いた。
 戦士としての訓練をいくら積み上げたところで、人間は細菌の攻撃に対しては無力だ。もちろん彼女には体力の貯金があるから、完治にさほどの時間はかからないだろうけれども──

「風邪といったら、まぁこんなもんか」
 見事な手際でスープを作り上げ、「ほい」と皿を差し出すソードマン。メディックはそれを受け取ろうとして、慌てて手を引っ込めた。
 熱いものは持ち慣れていないのだ。振り返った先に盆が置いてあったのを、これ幸いと拝借する。

「ありがとう」
「お前に礼言われてもなぁ。冷めないうちに持ってってやれよ」
「お、おう」

 皿の中にはポタージュ状に煮込んだジャガイモと、刻んだ野菜、ベーコンとハーブが少々。体が温まるのはもちろん、栄養のバランスも良好で、噛む必要がないくせに腹もちもいい。申し分のない病人食だった。
 日頃は頼りないと思っているだけに、こうして段取り良く準備をされると面喰らってしまう。目の前に立つ赤毛の彼は、剣士ではなく料理人を志すべきだったのではないだろうか。

■拍手御礼ログ/ところでこれってどこの台所?■
Posted by よあ - 2008.01.27,Sun
 もう一作目との関係とか考えずに作ってしまうことにした。
 エトリア~ハイ・ラガード間の移動にどれくらい時間がかかるか分からないので、年齢の設定は曖昧なままにしておくよ(絶対移動できない距離だったらどうしよう)! と言うか、全面的に暫定版だよ!



リコ■ソードマン(♀/赤毛)
 エトリア出身、9月20日生。樽の剣士の妹だが、迷宮探索の経験はない。男勝りで快活。
 とある人物の手掛かりを求めて、ハイ・ラガードを訪れる。
 名前の由来はヒガンバナの学名である「Lycoris radiata」。



コラーダ■レンジャー(♂/金髪)
 エトリア近郊出身、平凡な農家に生まれ育つ。3月29日生。常に眠そう。
 幼馴染のユリスに付き添う形でギルド「Rays」に加入し、採取要員として活動していた。
 しかし加入当時、エトリアを発つことになるとは思ってもみなかったに違いない。
 名前の由来はカクテルの「ピニャ・コラーダ」。



カナデンシス■パラディン(♂/金髪)
 ハイ・ラガードで育ち、騎士として訓練を積んできた。1月23日生。
 それなりに努力したにもかかわらず、騎士団員の選に漏れてやさぐれ気味。
 名前の由来は、カンブリア紀の生物「アノマロカリス・カナデンシス」。



ユリス■メディック(♀/ロリ/……ロリ……?)
 エトリア出身、学問志向の両親の下に育つ。11月18日生。若干他人に依存気味。
 医術の実習を兼ね、ギルド「Rays」の採取パーティの一員として活動していた。
 冒険的な性格ゆえ、エトリアを発つリコに(コラーダを巻き込んで)同行することに。
 ……なんでこの名前になったんだろ?



アルフ■アルケミスト(♀/黒髪)
 出身地不詳、10月14日生。いいんちょ。新たな研究材料を求め、未知の迷宮に挑む。
 錬金術の師と兄弟子に付き従う形でギルド「Rays」に所属していたが、独立した。
 名前の由来は中国の伝統楽器「二胡(アルフー)」。



エベネー■バード(♂/銀髪)
 ハイ・ラガード近郊でフラフラ生活していた兄ちゃん。5月15日生。お人よし。
 万一の際の後見人として、ギルド「マンジュシャゲ」に名前を貸すことになる。
 名前の由来は、「明日の田園都市」の著者、「エベネザー・ハワード」。



年齢:
 アルフ<カナデンシス=リコ<ユリス=コラーダ<エベネー

精神年齢的には、アルフがユリス・コラーダ組と同じくらいまで跳ね上がる感じ?



身長:
 ユリス<リコ<アルフ≦エベネー<カナデンシス<コラーダ

ここまで男女差がくっきりするのも珍しい(自分的に)。




080225日追記:
 実際のプレイにあたって、「えっギルド名の文字数上限増えたの?」
 ギルド名を「ヒガンバナ」から「マンジュシャゲ」に変更。

 あと「エベネーって誰だよ('A`)」ということで、エベネー兄さんの元ネタを訂正。
Posted by よあ - 2007.12.09,Sun
 世界樹の迷宮IIの妄想がしたいのですが、色々引っかかる点があってうまく行きません。
 特に気になるのが、一作目からの時間と距離の隔たりがどの程度なのか、ということ。

 エトリアが「大陸の辺境」とのことなので、陸地の分布も現在とは随分違っていそうです。
 もしかしたら本州を「大陸」と呼んでしまうくらいにヒトの活動域が狭まっているのかも知れないし、世界樹の作り出した新外殻が本来の大陸とは異なる形の陸地を作っているのかも知れない。
 前者だとしたらエトリアの冒険者がハイ・ラガードに渡ってくることは絶対にないし、後者であれば、世界樹間の距離が分からないことには旅程の設定ができないわけで。

 日本列島だって徒歩で縦断するのは骨なのに、ハイ・ラガードが現在のイタリアだったりとかしたら……(※海が綺麗で石造りの建物が美しい土地、というとイタリアしか思い浮かばなかった)。

 そういえば、あの世界の「海」ってどうなってるんだろう。ヒトと大地が隔離されているのなら、海面ごと持ち上げないことには海抜がものすごいことになってしまう。外殻を人工的に形成しようっていう発想も大概荒唐無稽だけど、流石に海は持ち上げられないと思うんだよね。流石に。
 ということは、本来の大陸の上に新外殻が覆い被さっていて、端は緩やかに海へと落ち込んでいるんだろうか。でも海洋汚染が深刻だったとしたら、そこからもヒトを遠ざけないといけないしなぁ……
 もしかして、ハイ・ラガードに見える海は実は湖だったりするのか。滋賀県の琵琶湖みたいに、昔の海の一部が新外殻の上に取り残されて、世界樹の効能でいち早く浄化されたりとか。

 新外殻で思い出したけど、エトリアの建物が石造りなのは、やっぱり引っかかる。
 地震大国の上に植わっている世界樹なのに、その上の建物は石造りって、耐震性は大丈夫? まさか実はSRC構造の上に石材風シートを貼ってあるだけ、なんてことはないよね? いや、でも、石だとしたらその石材、何処から切り出してきたのさ?
 中世ヨーロッパベースのファンタジー世界を演出するためには、あの外観にならざるを得なかったんだろうけど、しかし考えれば考えるほど気になるぞ。
Posted by よあ - 2007.12.07,Fri
 風呂場である。

「前くらい隠しなさい」
「んだよ、男同士隠したってしょうがないだろ」
「同感だ。むしろ全開こそが、男らしく潔いスタイルだと言えるんじゃないか?」
「……僕、そろそろ上がるね」
「あっ逃げるな、ずるいぞ!」

 濡れたタイルで滑りでもしたのか、ぎゃー!と悲鳴が上がった。
 桶の転がる音がけたたましく響き渡り、次いで派手な水音。

「……どういう会話をしているんだ、あいつらは」
「と言うか、状況が気になりますね。死人が出ないといいのですが」

 湯船に浸かったパラディンの表情を見るに、死人がどうのという発言は冗談ではないらしい。
 レンジャーは遠い目になって、男湯と女湯を隔てる高い壁を見上げた。

 自分が最年長なのは重々承知していたが、彼らは子供っぽいとか、そういう次元を超えている気がする。
 男という生き物は総じて、なのだろうか。それともこのギルドの人員が特別……

(あぁ、いや、駄目だ考えるな)

 仮にも命を預け合う仲間なのだ、間違っても馬鹿呼ばわりはするまい。
 決意した端から「みきゃ?!」と奇怪な悲鳴が耳に入り、レンジャーの精神力を削いでいった。

■拍手御礼/没文書/浴室にて■

共同浴場に入れない設定の子が居るのを、自分で失念していたという……orz
Posted by よあ - 2007.11.15,Thu
 「世界樹の迷宮」のエンディングのテキスト、「木々をおおっていた人の思念も消え」というのがすげぇ気になる。
 突然さらっと出てきてるけど、「人々の思念」って、何。あれには何が取り憑いてるっていうの。

 そういえばヴィズルも「死して汝らも、大地再生のための力となれ!」とか言ってたけど、あれは「世界樹のための良い肥やしになれよ☆」とかそういう意味じゃないのか。違うのか。



 そもそも世界樹の王を倒すと樹そのものの活動が停止する、この理由がよく分からないんだけど……ヴィズルは本来、世界樹とは全く独立したヒト個体であったはず。だとしたら、ヴィズルが操舵者として、世界樹の核と一体化したものが「王」だったと考えるのが自然かな。冒険者達はそれを一体のものとして倒してしまうから、ヴィズルは帰らぬ人となり、世界樹は活動を停止した、と。

 ってことは、人為的な操作によって、世界樹は本来の機能よりも高い防衛性能(ないしは攻撃性)を発揮できるということになる。世界樹が勝手に冒険者達を撃退してくれるなら、ヴィズルが自ら出向いて操作する必要はないわけだ。
 世界樹自体には環境浄化のプログラムしか書き込まれていないはずだから、人のような臨機応変の戦略戦術が立てられない、というのは何となく合点がいく。



 もしかしたら、世界樹の中で死んだ人々の情報を取り込む機構が、世界樹の中にもあるのかもなぁ…… ヴィズルほど明確な形ではないにしろ、人間の意志に近いものを自らの内側に確保しようとする機能が。何というか、真核細胞にとってのミトコンドリア的な。
 例えばヒト遺伝子を取り込んで、世界樹のどこか組み込むことが可能なのだとしたら、それを防衛機構の駒として──例えばモリビトに転用することも可能なわけだ。

 そういやモリビトって卵生? 胎生? それとも樹に生るの?(え、十二国記?)

 しかし仮にそのような機能があったとしても、世界樹の王を倒しただけでは取り込まれた遺伝子は解放されないし、そもそも遺伝情報を「思念」と表記するのはおかしいので、エンディングのテキストに対する解釈としては全く相応しくないのであった。げふん。
Posted by よあ - 2007.07.01,Sun
 動物だって好んで戦闘をするわけじゃないから、鈴の音を常に発していれば警戒されるのが当たり前。

 というのは一般論として置いといて、世界樹の迷宮の中で鈴の音ってどういう意味があるんだろう。世界樹の迷宮に登場する魔物が、全て世界樹の目的に則って機能する防衛機構なんだとしたら、音を出す(異物であるとアピールする)パフォーマンスは敵を遠ざけるのに逆効果だと思う。

 樹海内の魔物が嫌う特殊な音波が出ているとか、そういうことなのかな。
 と言うか、何故に消耗品なのか。……シリカ商店の陰謀?


Posted by よあ - 2007.07.01,Sun
 一体何のためにあるのかなぁ。樹海の外から進入してきた者にとっては、手助けにしかならない存在なんだけど、あれって世界樹の存在意義と矛盾する気がする。
 樹海磁軸があるのは、ヴィズルみたいな人間が出入りする以上、「従業員専用通路」的なものが必要だったんだろうと納得できるんだけど……
 「迷宮」の入口と同じく人を導き入れるために作り出されたものなのか、世界樹の機能的にどうしても必要なものだったのか。それとも監視者に万一のことがあった時のための、緊急回復装置みたいなものなのかー。

 あと、汲み置きすると効果が失われるというのも不思議。何らかの有機的な成分が溶け込んでいるんだろう、というところまでは容易に想像がつくけど……汲み取ってから一定時間が経過するとそれが分解されてしまうのかな。それとも溶け込んでいる栄養分が、同じく溶け込んでいる世界樹の細胞に消費されてしまうとかか。
Posted by よあ - 2007.06.30,Sat
 思い出の中で、彼は隠れんぼをしていた。
 ベッドの下に滑り込み、息を潜め、鬼が来るのを待っていた。

 そんなものはいなかったのに。

 一人で遊んだ、鬼のいない隠れんぼの記憶。
 ふと目覚めた真夜中、ベッドの下に、その頃の自分がまだ居るような気がした。

■視点05/回想■
Posted by よあ - 2007.06.29,Fri
『探し物があるんだ』

 ギルドのメディックがそんなことを言い出したものだから、五日間、ひたすら地面を見つめて歩き回る羽目になった。
 何とはなしに俯き気味で歩くのと、探し物をして腰を屈めて歩くのでは、疲労度がまるで違う。特に重装備のパラディンが、次いでソードマンが音を上げた。哨戒役のレンジャーは、最初から捜索には加わっていなかったから、結局後衛二人が地面と睨めっこを続ける格好になった。

『俺が今つけてるイヤリング、これと同じものを探してる』
『はぁ?! このジャングルの中で、イヤリングひとつ! 冗談だろ!』

 思わず叫んだ感想は、アルケミストの中では今も変化していない。ただ「友達の落し物なんだ」というメディックの苦笑いが、殴りつけるには寒々しいものだったから、無下にできなかったというだけで──

 本当に見つけるつもりは、なかったのだ。

 ポケットの中で、ちゃり、と金属の触れ合う感触。
 咄嗟に隠してしまったから、しっかりと確認したわけではないのだが、すぐ後ろを歩いているメディックの耳飾りと確かに同じものだ。肉厚の金属板を吊るしただけの、シンプルな金色。表面の錆が、ポケットの裏地に幾度も引っかかった。

 早く、教えてやるべきなんだろうか。
 野放図にのたうつ羊歯を踏み越え、アルケミストは迷う。
 後続の男は、探し物をしているようには到底見えなかった。視線は確かに地面付近をうろついているのだが、眼球はほとんど動かない。どちらかといえば物思いに耽るあまり、視線がついつい下を向いている、といった風情だ。

 メディックのことをよくは知らない。アルケミストとは宿の二人部屋を共用していて、戦術の話、錬金術や医術に関する情報交換も頻繁にするけれど、個人的な経歴となると話は別だ。
 それでも自軍の衛生兵について、知っていることは幾つかある。樹海に潜るのは今のパーティが初めてだということ。オフ日でも必ず、樹海の前までは足を運んでいること。時折宿を抜け出し、夜の街をフラフラ散歩する癖があること。散歩コースは気まぐれらしいが、帰りは必ず、宿の東側の小路からであるということ。

「なぁ、お前の友達って」

 気付いたら、振り向いてそんなことを口走っていた。突然のことにメディックが目を丸くする。

「なに?」
「……あ、いや……」

 エトリアの街の東の外れ、樹海を見下ろす丘の上には、迷宮に散った冒険者達のための慰霊碑がある。

 お前の友達って──もう、

 まさか、そんなことは訊けない。

 けれど半分出かかった問いを引っ込めることも出来ず、アルケミストは苦し紛れに続けた。

「冒険者だったんだな」
「うん。医術学校に来たのもそのため、っていう人でね。
 飛び級で卒業して、優秀だったのに、エトリアで腕一本で暮らすんだ、ってさ」
「で、この階層で落としたのか」

 ──命を。

「らしい。もう少し気をつけて欲しかったよ」

 メディックは困ったように笑った。

「でも、半分は諦めているものだから。君も充分付き合ってくれたし……そろそろ探索に集中しようか」
「見つからなくてもいいのか?」
「俺たちパーティが生きて帰ることの方が、大事さ」

 注意力も落ちてきてるし、と何でもないことのように言って、彼はアルケミストを追い抜いていった。

■視点05/冒険者ギルドの試練■
Posted by よあ - 2007.06.29,Fri
 ルビニ・サピロス・トパゾス。この三つの名前は宝石のruby、sapphire、topazから取ったものと考えて間違いないと思う。
 いずれも「真紅の宝石」と説明欄に書かれているのが気になるが、材料の結晶の色は各宝石ときちんと対応しているので、気にしないことにしよう。

 トリトスはtriple(三種類の)からの変形であると思われる。

 アダマースはおそらく、ダイヤモンドの名称の由来となったadamasから。
 材料の「カリナン」は史上最大のダイヤモンド原石の名前である(切り出されたダイヤモンドの大半は、今もイギリス王室が所有している)が、エトリアでは「大粒のダイヤモンド」を示す言葉になっているものと考えられる。

 ところで、ダイヤモンドに次いで固いとされるcorundum原石は、調べてみたら青色のものがサファイア、赤色のものがルビーであるらしい。
 ということは、ルビニとサピロスとは、原子レベルで見れば同じものなのか? それともルビニとサピロスは、世界樹の結晶を精製して作られた「ルビーっぽいもの」「サファイアっぽいもの」で、コランダム原石を研磨したものとはまた異なるのか? はたまた自分の知識が不足しているだけであって、実は各アクセサリー名がもっときちんとした意味を持っているのか……

 しかしコランダムは容易に人口合成できるそうだから、錬金術師の手で「生産」できないのがつくづく不思議である。
 世界樹によって人々の生活域が本来の地上から持ち上げられているため、原料の入手が容易ではないとも考えられるが、その割には建物が石造りだったりガス灯(っぽいもの)があったり。
 エトリアは不思議でいっぱいやー。
Posted by よあ - 2007.06.29,Fri
 ミニコミ誌によると「後輩冒険者に奢ったりしているため」にあの値上がりっぷりらしい。

 けど、我が家に限ってそれはなさそうだ。そもそもそこまで羽振りの良い酒飲みがいない気がする。

 レベルが上がるにつれて、地上での準備期間や修練量が増えている(=滞在期間が延びている)とか、そういう解釈ではいけないのだろうか……
Posted by よあ - 2007.06.29,Fri
「君、どれだけ神経太いんだよ」

 連れのメディックに尋ねられて、ソードマンは咀嚼活動を一時停止させた。
 しかし口内の諸々は、発声を妨げるには充分すぎる量だ。もっさもっさと顎を動かす。
 プツリと切れるトマトの皮の食感、煮崩れたタマネギの芳醇な甘さ、絶妙のバランスで加えられた香辛料の風味を楽しんだ後、ようやく白衣の青年に向き直った。

「これは野菜スープです」
「見れば分かる」
「じゃあ、あれは何だった?」
「……植物、ではない、けど」

 メディックは、暗い表情で己の皿を見下ろした。
 メインディッシュたる鶏の照り焼きは幻だったかのように消え去り、付け合せの野菜だけが綺麗に皿を飾っている。可愛らしいオレンジ色のニンジンと、鮮やかな緑色に茹で上がったアスパラガス、どちらも冷め切って可哀想なことになっていた。
 それでも口に運べば、バターの香り、シャッキリした歯ざわり、野菜特有の瑞々しい甘みが楽しめるはずだ。

 その青臭さが、生きた植物の香りが、今の彼の神経には堪えるのだろう。

 迷宮の中で生まれて初めて、人の形をしたものに刃を向けた。
 憎悪を滾らせた視線、斬りつけた瞬間に耳に届いた苦鳴、点々と砂に散った緑色も、全て生々しく記憶に残っている。血溜りから立ち上ってくる匂いは、樹木を傷付けた時のそれによく似ていた。

 だから何だ。

 「もらうぜ」と一言断って、ソードマンはフォークを伸ばした。アスパラガスの表皮に、銀色の先端が沈む。ずぷり。
 もちろんアスパラガスは悲鳴を上げない。代わりに対面の男が顔をしかめた。

「君はもう少し、まともな倫理観を持ってるヤツだと思ってたよ」
「そりゃどうも。オレもお前のことは、も少し想像力のあるヤツだと思ってたね」

 サクサク繊維を噛み千切り、大げさに肩をすくめて見せる。

「自分が何を食べてるのか、知らないワケじゃないだろ? 料理に口なしってだけだ」

 一度屠殺場にでも来るか?と尋ねると、メディックは片手で目元を覆ってしまった。

■視点01/モリビト殲滅作戦■
Posted by よあ - 2007.06.26,Tue
 「世界樹の迷宮」に現れる敵は、いわば世界樹の免疫、抗体のようなものである。世界樹という生物にとっての、侵入者を排除するためのシステムの一部。
 モリビトもその中の一種類に過ぎない。彼らは他の魔物達とは違う形でヒトと争い、話し合った末に、「人は樹海の外で…、モリビトは樹海の中で生きる事になった」という状態に持ち込ませることに成功したというわけ。ただ怪物に力ずくで追い返させるより、ずっと賢いやり方ではある。
 もしかしたら「古の協定」が結ばれた頃は、まだ世界樹も不完全で、今ほど込み入った樹海、人の立ち入れない秘境のような状態ではなかったのかも知れない。

 対して「迷宮」とは、人を呼び込み惑わせるためのもの。
 本当に人を拒みたいのなら、「世界樹」が「世界樹の迷宮」である必要はない。道だの仕掛けだの作るから人が入ってくるわけで(それがゲームだから、というツッコミはさておき)、入り口さえ作らないでおけば侵入者の大半は防げることになるからだ。それでも入ってくる者があったとしたら、青木ヶ原樹海への突入者よろしく自殺志願者くらいじゃないかと。

 ……いや、青木ヶ原、普通にハイキングコースとかもあるんだけど……

 実際、世界樹の迷宮への入り口は比較的最近になって発見されたもののようなので、この二つの存在は特に矛盾してはいない。入り口が発見される(作られる)までは、世界樹は迷宮でも何でもなく、単なる樹海として侵入者を拒んでいたと考えられる。モリビトも樹海の中で、何事もなく暮らしていた。

 ところが地上の浄化が終わり、人が暮らせる環境になると、世界樹は人に対して入り口を開かざるを得なくなった。かくして迷宮への入り口は開かれ、世界樹は人に切り拓かれるばかりの存在と化したわけである。

 ここで世界樹の生存本能が働き、世界樹の王として君臨していたヴィズルもまた操られて、冒険者達の行く手を阻もうとした──というのがミニコミ誌で明かされた設定。

 世界樹がその役目を終えたということは、世界樹を守る生物達も不要になってしまったということ。もちろんハイそうですか、と言う訳には行かず、そうでなくとも母体の世界樹が生存を望んでいるので、彼らは全力で冒険者を排しに掛かった。
 長がモリビト殲滅作戦というミッションを下したのは、有力になりつつある冒険者を排除するという目的とは別に、世界樹の意思の暴走を食い止めて欲しい、という願いもあってのことではないかと思う。
 実際のところ、世界樹の存在意義は「いつの日か人が立てる地上を取り戻すこと」に集約されているのだし。浄化が完了して、その準備が既に整えられていたことを、世界樹の監視者たるヴィズルは知っていたはずだ。

 仮にモリビトが世界樹の一部であるとするなら、冒険者達が樹海最深部に到達したことで、彼らの役割も全うされたと言えるんじゃないだろうか。一個の生物対生物としての和解ルートは存在していないけれども、冒険者達が迷宮の謎を解き明かすという結末自体が、モリビトや世界樹への手向けとなるのではないか……というのが自分なりの結論。

 少なくともユグドラシル・プロジェクトの立ち上げ人たちは、人がいつまでも世界樹の上で暮らすことを望んでいたわけではないはず。
 産みの親がそう考えていたから子供だって同じだろう、というのは理屈としてあまりに乱雑であるし、それがハッピーエンドだとはちっとも思えない。が、単にモリビトを倒して最深部に到達したぜウワーイ!って言うよりは、いくらか後味がマシになる気がする。



 ちなみに各階層の環境が極端に異なるのは、最深部に進入してくる生物を阻むため。樹海内から生物が出てこないのは、世界樹を守る免疫としての役割から外れる行為であるから。
 森ネズミが逃げ出すのは、彼らが元々は世界樹の迷宮の住民ではなかったためだと思われる。出現する層も浅いし、たぶん周りの森から入ってきて適応しちゃったんだろう。……他に戦闘中に逃げ出す敵っていたっけ?
Posted by よあ - 2007.06.24,Sun
 花弁と蔓草に彩られた様相は、壮麗だが閉塞感を感じさせた。
 いや──息苦しさを与えているのは通路ではなく、先に在るものへの予感か。

■視点02/65文字/B25Fにて■
Posted by よあ - 2007.06.24,Sun
 その可能性は常に考えなければならない。
 だが、仲間を信じなければ前進できない。
 新人冒険者達にとっての、それが最初の賭けとなる。

■視点01/65文字/冒険者ギルドにて■
Posted by よあ - 2007.06.24,Sun
 自鳴琴のようだが、箱の構造は複雑だ。
 何を歌っているのか、何故歌うのか。
 それを知る者がなくなって尚、音色は高らかに澄んでいた。

■視点04/65文字/遥かなる樹海の歌■
Posted by よあ - 2007.06.24,Sun
 そう呼ぶと語弊がある。彼らにとって、樹海探索は各々の目的達成のための過程に過ぎないのだから。
 協力者、その名が一番しっくり来た。

■視点02/65文字/冒険者ギルドにて■
Posted by よあ - 2007.06.24,Sun
 空を割く二条の直線。
「ここの魔物さ」
「おう」
「随分豪華な家に住んでるよな」
「だな」
 今のエトリアに、こんな楼閣を築く技術はない。

■視点05/65文字/B25Fにて■
Posted by よあ - 2007.06.23,Sat
「あーあー只今マイクのテスト中。ただいまマイクのテストちゅうー。……聞こえてる?」
「……恥ずかしいから程ほどにしといてくれ」
「でも、難しいですよ、特に意味のない言葉を話すのって」
「何でもいいから喋れって、下手なテーマ出されるより厄介だよね」
「そもそも、テキストの色変えなんて使うのか?」
「さぁ? 見る人にしてみれば、方法が何であれ、分かりやすいに越したことはないと思うけど」

使う予定はあんまりないけど、一応スタイルシートには記述してあるとか。
Posted by よあ - 2007.06.22,Fri
 闇を照らすため生まれてくる光というのも、確かに存在する──今目の前にある、小さな灯火のように。
 光と闇は、必ずしも対ではない。

■視点03/64文字/宿屋にて■
Posted by よあ - 2007.06.22,Fri
ギルド名に関する云々。

01■光明のつもりだったんだけど
02■光線じゃないのか?
03■えっ、エイ(※魚類)のことじゃないんですか
04■てっきり放射線だとばかり……
05■俺は熱線のことだと思っていた
06■……って言うか、意味とか考えてたんだ……

割といい加減。
Posted by よあ - 2007.06.22,Fri
 過去に人が暮らした痕跡をそう呼ぶ。
 今は建物郡だけが夥しい、無人の空間だ。亡霊の一人も居れば、滅んだ理由も尋ねられようものを。

■視点04/64文字/B21Fにて■
Posted by よあ - 2007.06.22,Fri
 一見木片のような薄茶色の塊は、ダマスカス鋼の小片だ。砂の大地から拾い上げる。
 焼け残ったものから目を背け、素早く踵を返した。

■視点05/63文字/B18Fにて■
Posted by よあ - 2007.06.22,Fri
 一人の狩人が、小さな横穴の中で雨やみを待っていた。
 俯く。嘆息する。また空を仰ぐ。その繰り返しだ。
 未だ雨足が弱まる気配はない。

■視点02/65文字/回想■
Posted by よあ - 2007.06.21,Thu
「魔法じゃない、錬金術だ」
 錬金術師は不機嫌そうに言った。

 だが理屈を知らぬ者にしてみれば、術式はやはり魔法のようなものだ。

■視点01/62文字/宿屋にて■
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